■Vol.1〔地鎮祭と上棟式〕 ■Vol.2〔家相〕 ■Vol.03.〔工法〕 ■Vol.04〔木造住宅〕 ■Vol.5〔設備〕
■Vol.6〔安全〕 ■Vol.7〔素材〕 ■Vol.8〔火の木、木の目、気になる木〕 ■Vol.9〔木のぬくもりにはワケがある〕

住まいと住まいづくりの注目キーワード

設備 偏重するのも考えもの

 居室にはエアコン、キッチンには食器洗浄乾燥機やIHヒーターがほしい。浴室には乾燥機があればいいし、できれば浴槽から眺めるテレビも付けて、ぜいたくな生活をしてみたい……。
 家づくりの構想が進み、住宅設備を選ぶ段階になると、「あれもほしい、これもいい」と望みは膨らむばかりです。種類においても、各メーカーが工夫を凝らしてさまざまな機種を売り出しており、選定するのに苦労するほどです。
 限られた総予算の中で、どこにお金を使って、どこを我慢するのかは、施主が住まいをどのように使い、どのように暮らすのか、つまり施主の家づくりの「哲学」にかかってきます。

イラスト2  同じ江戸時代に造られた桂離宮と日光東照宮は、日本美を代表する建築物の双璧とされていますが、前者はその簡素美が高く評価され、対する後者は人工的華麗さを誇っています。対極するこの2つの建築物には、建造する側の美意識の違いがあり、いずれを美しいと感じるかは見る人の感性によって異なるはずです。簡素を旨とする桂離宮の設計思想を「引き算」とすると、華美を求めた日光東照宮は「足し算」の発想で造られている、ということができます。

 これは、私たちの家づくりにも大いに参考になるのではないでしょうか。極端な例えをいえば、クーラーを取り付けなくても、通風性と断熱性を良くする設計と工法で家を建てれば、夏を涼しく過ごすことができるはずです。これは「引き算」の発想でしょう。工夫次第で、設備にお金をかけ過ぎる必要はないということです。その分、浮いたお金をあなただけの「個性」を表現する部分に使ってみるのも方法です。
 それでも、最新の住宅設備はやはり便利です。しかし、導入するにしても、「あれもこれも」ではなく、あなたの「哲学」に照らして必要最小限に抑えたいものです。耐久年数やランニングコストも十分比較検討して、納得したうえで取り入れましょう。

桂離宮の松琴亭と日光東照宮の陽明門のイラスト