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住まいと住まいづくりの注目キーワード

木のぬくもりにはワケがある

冬を快適に過ごすための素材とは

 日本随筆文学の代表作『徒然草』にはさまざまな話題がつづられていますが、そのなかで住まいについて「家のつくりは夏向きにすべし。冬はどこにでも住める」と書いてあります。筆者の吉田兼好はよほど寒さに強い人だったのでしょうか。
 現在は冷暖房設備が普及し、年中快適に過ごせる環境が整いつつありますが、北陸の地ではとくに冬の快適さこそが家に求められている大きなポイントです。あたたかさを提供してくれる素材といえば、なんとなく木材を連想する方も多いと思いますが、これは単にイメージだけなのでしょうか。

頭寒足熱と自然素材

イラスト ヒヤリと冷たい床や壁は寒さを際立たせます。これは皮膚から急激に熱量が奪われるため。熱量の移動の少ないものほど、不快に感じにくくなります。木は調理道具の取っ手や柄に使われていることでもわかるように、熱伝導率が低く、人の体が触れたときにも心地よい素材なのです。
 漢方で健康によいとされる「頭寒足熱(頭を冷やして足元を暖める)」からは、足元の温度が大切であるということが窺えます。足が直接触れる床材に、木材は最適。表面がツルツルのものより、自然な凹凸があるものの方が肌触りがよいとされ、この点からも木材は優れています。無垢材や各種のフローリング材のほか、ソフトな感触と保温性に富んだ素材として注目されているのが、ワインの栓でお馴染みのコルク。コルク樫という木の樹皮だけをはがして加工するため、木を伐らずに利用し続けることができる環境にも優しい素材です。

木材の心理的効果

 木材の色による生理的、心理的効果も見逃せません。人間は好き嫌いに関係なく、暖色を見ると体があたたまり、寒色を見ると寒く感じます。色の違いだけで、体感温度で3℃の違いを感じるとか。木材は橙色を中心とした暖色系が基調となっていて、この点でもあたたかい素材といえます。また、人の肌の色は光の50パ−セントを反射し、50パーセントを皮膚から吸収しているといわれますが、スギやヒノキの色も同じく反射率50パーセントくらいといわれています。この割合が、人間の筋肉がいちばんリラックスした状態でいられる色調だという説があります。
 私たちが木にぬくもりを感じるのには、やはりワケがあったのです。